第132回「 産学官交流 」講演会 報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


東海大学にご協力いただき、第132回の講演会を開催しました。

今年度の第1回目産学官交流講演会はコロナ禍の影響で、オンライン(ライブ)方式で開催いたしました。今回は東海大学海洋学部 海洋文明学科 准教授 木村淳氏よる「マニラ・ガレオン交易沈没船と駿府・静岡」、海洋学部水産学科食品科学専攻 准教授  浅川倫宏氏による「食品中有効成分の有機合成化学的支援の紹介」の講演がありました

 

 

東海大学 海洋学部 海洋文明学科 准教授 木村 淳氏

マニラ・ガレオン交易沈没船と駿府・静岡

 

1600年代にスペインのガレオン交易船が日本に座礁し、その船が駿府(静岡)と深いつながりがあった。1609年に千葉県御宿沖に座礁。生存者が駿府を訪れ家康の庇護を受けた。その中の一人(ロドリゴ・デ・ビベロ)は駿府城に関する記述をしており、「天井は金色に光り輝き、壁には様々な絵が描かれていた」と言っている。船団は3隻で嵐にあい、進路を変更し日本に向かうことになった。1隻はメキシコに着き、もう1隻は大分県に漂着。ビベロは伊東で三浦按針の製造する船を借りてメキシコに帰る。その中で初めて渡航する日本人もいた。帰国できたことの感謝のしるしとしてスペイン国王が使節団を駿府に送り、様々な返礼品の中に久能山東照宮にある西洋時計があった。尚、この使節団は徳川幕府の不興をかい船を失うが、伊達政宗の庇護を受けメキシコに帰る。御宿沖に座礁・沈没した船がどこに沈没したのかいまだ解明できていない。16世紀、17世紀ではマニラ・ガレオン船が太平洋で交易をしていたが、多くの船が沈没している。バハ・カリフォルニア半島では中国の陶磁器が見つかっている。オレゴン州ではビーズワックス(みつろう)が見つかっている。フィリピンでもガレオン船が軍用に使用され、マニラ湾に沈んでいるのを発見。タイの陶磁器が発見される。マニラ・ガレオン船が静岡と深い関係にあったことがわかる。

 

 

東海大学 海洋学部 水産学科 食品科学専攻 准教授 浅川 倫宏氏

食品中有効成分の有機合成化学的支援の紹介

 

浅川准教授は静岡県立大学薬学部を経て同助教として研究し、2016年より東海大学海洋学部准教授として現在に至る。健康寿命には機能性食品の摂取が重要で、薬と違い手軽に摂取、安全性、持続性がある。食品由来の有効成分を有機化合物(化学分子)として現すことが出来る。人の手で作ることが出来る為、大量にできる、純度が高くできる、生物化学的な研究もでき、効果があるかわかる、毒性がないかもわかる。それらを合成する研究をしている。機能性表示食品は国による審査なしですでに公開されている根拠に基づき表示できる。トクホは国による審査を得て表示。機能性食品には有効成分の定量が必要。サンプル(標準品)が必要になる。自然のサンプルは高価、手に入らないものもある。それらを合成して作ることが出来る。機能性のあるお茶の探求が進んでおり、微生物発酵茶が注目を浴びている。現在企業からの依頼でお茶の葉のEGCgの研究、合成を行っている。ダイエット茶としての研究では、過剰な吸収を防ぐ、炭水化物をブドウ糖として小腸から吸収することを防いだり、脂肪を脂肪酸に変えて小腸から吸収することを抑えることもできる。定量用標準品(サンプル)の供給には化学合成が必要であり、今後も期待できる。ノビレチンは天然物と比較して合成品により価格が1/20となった。

 

 

 

 


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