入居者インタビュー

今回の入居者さん

入居者の写真
会社名
小さな野はらの樹
代表者名
奥塩 千恵さん
自己紹介
台湾で生まれ、9歳まで台湾で育ちました。昔からアンティークや北欧の家具、雑貨が好きだったので、大学卒業後は東京都内の雑貨店で働き、その後、静岡に戻りました。
私のルーツの半分は台湾にあるのですが、子どもの頃に祖母が作ってくれた筍のスープが大好きでした。今、竹で作る位牌を扱う仕事をしているのも、なにか縁を感じます。自然素材や織物も大好きで、主に遠州織物を使った布小物を「kocchi」というブランドで展開しています。
現在、11歳の男の子の子育て中です。小学校で絵本の読み聞かせのボランティアにも参加しています。

今の仕事を始めたきっかけは何でしょうか?

位牌を扱う仕事は、もともと父の事業でした。2007年に一緒に台湾に訪れた際に、竹製の茶器を見た父が竹で作る位牌を企画し、3年ほどかけてようやく商品ができました。しかし、いざ売り込みにという時に病気で亡くなってしまいました。当時私は専業主婦で事業継承など考えていませんでした。
私は、妻として、母として、嫁として、なにより父の娘として、いつも自分の立場と選択に迷い、葛藤と闘っていました。病床の父が私に商品のことを事細かに伝えてから亡くなったので、そのやりとりや、生前、竹位牌の開発を目を輝かせて待ち望んでいた父や叔父たちの苦労を傍らで見ていたことなどもあり、その期待や苦労が実を結ぶためにも竹位牌を販売したいという思いが、私の中の葛藤よりも勝っていました。
また、雑貨店で働いていたこともあり、フェアトレードにも興味があったので、派遣で働いていた頃は貿易に関する事務職に就き、少しずつ貿易に関する知識を付けていました。竹位牌は台湾産の竹を使い、ベトナムで製造し日本に輸入しているので、昔学んだ知識も役立つと思いました。

事業内容を教えてください

インタビューのイメージ

竹位牌「紡(つむぐ)」と厨子の企画、それらの販売サイト「竹樹 BAMBOO TREE」の運営です。また、故人が生前に残した直筆のメッセージを遺品とともに残す「さいごの贈りもの」を、終活にも取り入れてもらえるような商品にしようとリブランディング中です。
竹位牌は遠州綿紬の風呂敷で包んで発送しているのですが、その風合いがとても好きで、遠州綿紬を使った小物を作りたいと思い、布小物の製造、販売をする「kocchi」ブランドも立ち上げました。今は遠州綿紬だけでなく、麻や帆布、コーデュロイなど、遠州織物全般を扱っています。

お仕事の依頼元(販売先)はどのような企業になるのでしょうか?

インタビューのイメージ

竹位牌「紡(つむぐ)」は葬儀屋さんや仏具店が中心です。県外では仏具問屋との取引もあります。厨子は主に個人の方からの注文です。今後は百貨店などにも売り込みをしていきたいと考えています。
「kocchi」の商品はネット販売の他、駿府楽市やNEXCO中日本のNDrive Shopで販売しています。

プラザに入居されたきっかけは?

事業自体をやると決めても、事務所がありませんでした。セールスは主に飛び込み営業で、このままの状態で行っても信用されないのではと思い、きちんと事業の拠点をつくろうと考えました。インターネットで情報を集めプラザの存在を知りました。それまでは専業主婦でビジネスに関する知識が何も無いため、商工会の施設なら有益なアドバイスをもらえると思い、入居することに決めました。

入居してよかったことはなんですか。

創業間もない人たちが集まっているということで、仲間意識が生まれ心強かったです。また、入居者やその他の人達と異業種交流ができたことや、商工会のサポートやアドバイスは、その後の事業の広がりを生み出してくれました。この時に出会ったアドバイザーのおかげで「kocchi」を立ち上げることもできました。

創業したばかりの当時考えていたことは?

インタビューのイメージ

もともと父が進めていた事業なので、私自身が創業したかというと少し違うのですが、もしかしたら、この竹位牌を私以外の誰かが販売していたら、もっと世の中に広まるじゃないかと、未だにそんな思いと葛藤しています。でもやめることはいつでもできる、続ける方が難しい。だからもう少しがんばろうと、常に考えています。

今後の展望を教えてください

インタビューのイメージ

まだまだ自転車操業的なところもありますが、今後は終活産業ともコラボできればいいなと考えています。リブランディングした「さいごの贈りもの」を、来春のギフトショーで発表する予定です。
父が亡くなった後に父の文字を見て、文字はその人を表すんだと実感しました。故人からのサプライズとして家族へ直筆でメッセージを残す。それをカタチにするため、現在デザイナーとコラボして企画中です。

これから創業する人へメッセージをお願いします。

インタビューのイメージ

「この事業をやっていきたい」という意志を持つことが大事だと思います。私は、未だに自転車操業で迷いも多いですが、“この事業をやっていいよ”と何かに背中を押されている気がします。続けられるということは、そこには必ず何か意味があるはずです。そして、事業を通じて知りあう人たちとのご縁は本当に大切だと思います。

お気に入りの書籍

『ガジュマルの木のしたで 26人の子どもとミワ母さん』 ミワ母さんとは、タイでHIV感染孤児たちと一緒に暮らし、世話をしている女性です。20代で挫折を経験し、自暴自棄になっていた私を目覚めさせてくれたミワ母さんとのテレビ越しの出会いは、人生のターニングポイントだったような気がします。あの時、カチっと音をたてながら、私の中で気持ちが前向きに切り替わったことを、いまでも鮮明に覚えています。それから数年後に、本屋さんで偶然出会った大切な一冊です。

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