第128回「 産学官交流 」講演会(常葉大学)報告
常葉大学様にご協力いただき、第128回の講演会を開催しました。
今年度の産学官交流講演会はコロナ禍の影響で6月、7月の講演会は延期となり今回が今年度3度目の講演会となりました。コロナ禍ではございますが、従来の対面方式で会場の換気、消毒を徹底し、3密を避けた着席とし、会場入り口では手の消毒、体温計測を実施しました。常葉大学 経営学部 経営学科 准教授須佐淳司氏による「地域資源を活かすアントレプレナー ~コロナ時代に立ち向かう経営者~」、同山田雅敏講師による「人工知能学的に見た言葉の性質 ~コミュニケーションの衝撃と解決~」の講演がありました。
常葉大学 経営学部 経営学科 准教授 須佐 淳司氏
『地域資源を活かすアントレプレナー ~コロナ時代に立ち向かう経営者~』
須佐准教授はJTB退職後、地域の観光資源を活かした中小企業のサービス経営の研究をしている。今回のコロナ禍の影響で3,100万人のインバウンドが無くなり、数兆円の影響が観光業界に出ている今回の講演ではコロナ禍に立ち向かう3人の経営者についての事例紹介。奈良市の(株)梅守は回転ずしで起業し、チェーン展開するが失敗、外国人相手に「うめもり寿司学校」を開講し、寿司体験(モノからコト)で成功する。徳島県の大歩危観光は専業主婦であった西村社長が過疎化の中山間地である大歩危峡で川遊びをすることをヒントにラフティング国内大会、世界大会まで誘致し、ラフティングの聖地として成功している。大阪市でブライダルのプロデュース業で起業したバリューマネジメントの他力野社長は文化財や歴史的建造物を利用したブライダルを提案し独自のスキームで再生ビジネスをはかり、地域に観光の新市場を作って成功している。これら3社長は変革を求めて事業を創造した。変革の要因として5つのキーワードがあり、①変心、②地域愛、ソーシャルイノベーション志向、③地域資源の再定義による新市場創造、④経営の使命、⑤メンターの存在を挙げている。成功につながるカギは使命感に基づいた新市場の創造である。
常葉大学 経営学部 経営学科 講師 山田 雅敏氏
『人工知能学的にみた言葉の性質 ~コミュニケーションの衝撃と解決~』
山田先生は25年間程大学のバスケットボールの監督を務めておりその中で言葉によるコミュニケーションの重要性を知り、研究テーマとなった。言葉には身体に伴う言葉が多く利用され(腑に落ちる、腹を割って話す等)テーマの一つとなっている。講演の視点として言葉が人生を決める、言葉の意味はそれぞれ違う、視点により情報の捉え方が違う、思考を言語化する時に注意する。今後人工知能(AI)が増えるがAIでは判断できない感覚的な言葉が存在する。言葉によるコミュニケーションの衝突が起こる。個人、集団、国家の対立。言葉とは記号であり、意味が解らなければ言葉を理解できない。又、人それぞれの体験によっても意味が異なる。メラビアンの法則では情報の伝達では視覚情報が55%、聴覚情報は38%、言語情報は7%に過ぎない。視点による情報の捉え方が異なり状況により情報が常に変化する。女性の後ろ姿と老婆の絵の例、昆虫を使用したミッキーマウスに見える情報を例えた。思考を言語化する時に注意する事。思考が言葉になり、言葉が行動、行動が習慣、習慣が性格、性格がいつしか運命になる。思考が言葉になると衝突した時に互いに批判し防御、そして見下すことになる。よって言葉が人生を決めることになる。