第131回「 産学官交流 」講演会 報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


静岡県立大学にご協力いただき、第131回の講演会を開催しました。

今年度の産学官交流講演会はコロナ禍の影響で、オンデマンド(動画録画配信)方式、オンライン方式で2020年10月より実施しております。今回は静岡県立大学 食品栄養科学部 環境生命科学科 准教授 原清敬氏よる「微生物の力で地球とヒトの健康に貢献する」、経営情報学部 経営情報学科 教授大久保あかね氏による「静岡県におけるガストロノミー・ツーリズムの可能性 ~美食世界一の街スペイン・サンセバスチャンからの学び~」の講演がありました

 

 


静岡県立大学 食品栄養科学部 環境生命科学科 准教授 原 清敬氏

微生物の力で地球とヒトの健康に貢献する

 

微生物は人間にとって不利な物質を造る腐敗と人間にとって有益な物質を造る発酵がある。発酵食品の特徴としては高い保存性、芳香な臭いとうま味、高い栄養価があり、発酵食品産業は総売り上げの20%を占め、有用物質の発酵産業は総売り上げの80%を占めている。微生物は45度以上の高温では機能を失う、ただ、122度まで増殖する微生物も見つかっている。微生物が環境汚染の修復にも寄与している。下水処理では窒素の除去がある。微生物は発酵食品、エネルギー生産、資源循環、環境浄化、有用物質生産に幅広く活躍している。現在ではマリンバイオテクノロジーを核としたシーズ創出研究を実施、工場で発生する糖質個体を海洋微生物によってサプリや化粧品などへ事業展開している。又、静岡県立大学を核としてはごろもフーズ、静岡県工業技術試験場と産学官共同研究を実施しており、JAMSTECの協力も受けている。又、今年度発足したマリンオープンイノベーション機構(MaOI)にデータを集約して、分析・解析を依頼している。地上及び海洋生物による再生産可能な経済社会(バイオエコノミー)は世界各国で関連した政策を打ち出しているが日本ではまだまだ概念が浸透していない。微生物を用いた物質生産(バイオプロセス)は持続可能な開発目標であるSDGsに不可欠であり、資源の乏しい日本にとっては、その重要度が大きい。

 

 

 

 

静岡県立大学 経営情報学部 経営情報学科 教授 大久保 あかね氏

静岡県におけるガストロノミー・ツーリズムの可能性 

                     ~美食世界一の街スペイン・サンセバスチャンからの学び~

 

JTBで旅行の仕事をした後、博士号を取り、静岡県立大学経営情報学部観光マネジメントメジャーの教授となった大久保教授は静岡県におけるガストロノミー・ツーリズムの可能性について講演した。ガストロノミー・ツーリズムはその土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的とした旅行形態で、「地域資源の魅力」を象徴する概念。国連世界観光機関(UNWTO)は昨年2月に会議を持ち、美食都市創造に向けた取り組みを決めた。Googleで「美食の街 世界一」と検索するとスペインのサンセバスチャンがヒットする。サンセバスチャンはスペイン北東部のフランスに隣接するバスク州の北部に位置する。60km2の面積に18万人が住む都市で商業と観光が主な産業。人口当たりのミシュランの☆の数が世界一とされ、スペイン料理の小皿料理(ピンチョス)を並べてワインを出すバルが有名。サンセバスチャンのすごいところは、地域の農・水産業との結びつき、幅広い産業との連携、暮らしの中の「料理」習慣(生活を楽しむことへのこだわり)、教育・研究機関との結びつき、地元顧客と観光客の融合が挙げられる。「静岡=美食都市」の可能性を考えると、静岡県立大学では健康食イノベーション推進事業を実施している。静岡ブランド健康食メニュー開発に向けた消費者調査を実施しており、静岡にきて食べたい食材、年齢層別動向、地域別動向の調査結果があり、このデータが参考になる。令和3年度に健康食メニュー提供を開始し、観光周遊プランの作成、令和4年度にはスペインモンドラゴン大学への研修者派遣などを予定。次のステップにみんなで進むことを提案した。

 

 

 

 

 


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