第139回「 産学官交流 」講演会(常葉大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


常葉大学にご協力いただき、第139回の講演会を開催しました。

今年度の第1回目産学官交流講演会は会場聴講とオンライン(ライブ)方式で開催いたしました。今回は常葉大学大学院 環境防災研究科 教授 池田浩敬氏による「震災事例における判例データから見た企業の危機管理の留意点」、経営学部 経営学科 教授 小豆川裕子氏による「企業テレワークの新たな展開 ~withコロナ時代の働き方改革、地方再生テレワークを考える~」の講演があった

 

 

 

常葉大学大学院 環境防災研究科 教授 池田 浩敬氏

『震災事例における判例データから見た企業の危機管理の留意点』

 

 

自然災害後に被害者が行政や、企業を相手に裁判がおこなわれており、裁判での判例を基に企業の危機管理上の留意点に関しての講演。東日本大震災では被災3県の訴訟内容として電力会社に対する訴訟、津波被害者の遺族が起こす訴訟、不動産関連訴訟、その他が多く、阪神・淡路大震災では土地・建物の権利、火災保険での地震免責、税金関連、災害支援金の訴訟が多かった。又、熊本地震では災害規模が小さく、発生時期が東日本大震災と近かったため判例は少なかった。東日本大震災では原発事故・放射能関連が2013年でピーク、津波避難上の安全配慮義務違反で企業が被告となり、その後数年たって行政が被告となっている。訴訟申請では証券取引での損害、不動産関連の修繕義務違反が多く、年が経過するごとに減っていった。阪神・淡路大震災では保険関連の地震免責が早い時期で多く、不動産関連では賃借権の確認から2~3年後には建替決議の無効に関する申請が増えた。熊本地震では発災から4年以内の復旧作業・保険関連の申請のみであった。3つの災害の訴訟内容・判例数変化の要因として①災害規模、②複合災害であるかどうか、③被災地域と域外、④災害が発生した時代背景、⑤災害の間隔が挙げられる。尚、過去に起きた7つの訴訟事例についての説明があった。

 

 

 

 

常葉大学 経営学部 経営学科 教授 小豆川 裕子氏

『企業テレワークの新たな展開 ~with コロナ時代の働き方改革、地方創生テレワークを考える~

 

 

小豆川教授はニッセイ基礎研究所、NTTデータなどを経て2017年より常葉大学に勤務。1990年代後半よりICTの普及、テレワーク分野の実証研究に従事。ゼミ活動では静岡地域におけるテレワーク推進事業を行っている。今回の講演会では働き方改革とテレワーク、コロナ禍とテレワークの普及状況、静岡県における中小企業のテレワーク、導入成功のポイント、地域創生テレワーク、ワーケーションについての話があった。コロナ禍前では「働き方改革」「地方創生」の実現手段として普及増進を目的とし、コロナ禍後はBCPの確保(感染リスクの回避)が重点となっている。テレワークは働き方改革の方法の一つである。テレワークを実現するICTツールには必ずしも高い投資が必要ではない。政府(総務省・厚労省)の様々なテレワーク施策が普及を後押ししている。2020年度の企業のテレワークの導入状況は50%強。今後60%弱になる模様。業種別導入状況は情報通信業、金融保険業、不動産業が高く、製造業、建設業、卸・小売業が50%を占める。運輸・郵便は30%ほどで低い。正社員のテレワークの実施頻度は徐々に増えており週平均1回、PCや通信環境の整備、社内コミュニケーション、情報セキュリティの課題が多い。尚、テレワークをしていない理由としてテレワークで行える業務ではないと答えている。静岡県中小企業では導入済が60%。製造業の影山鉄工所では本社はフリーアドレス、設計・開発・広報では週4日在宅勤務。その他卸売り業の丸尾興商、介護事業の美芳社の事例があった。導入成功のポイントとしては経営トップの強力な支援が必要。又、デジタル化はやれるところから始める(文書の電子化)。導入目的を明確化したうえで、社内の推進体制を構築し全社員を巻き込み導入・推進する。感染症の影響下で地方移住の関心が高まっている。地方創生テレワークという新たな働き方、暮らし方を国として推進している。静岡市でもワーケーションの取り組みを実施。まちなか(葵区)、用宗エリア(駿河区)、清水地区、中山間地のワーケーションエリアの開発が進んでいる。テレワーク・ワーケーションの関心が高まることで関係人口増による地域活性化が期待できる。

 

 

 


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