第141回「 産学官交流 」講演会(静岡大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


静岡大学にご協力いただき、第141回の講演会を開催しました。

静岡大学 情報学部梶原准教授による『感性品質を考慮したモノづくり』、農学部附属地域フィールド科学研究センター 藤枝fフィールド八幡准教授による『静岡の果物を科学する ~地域に根差した果樹研究~』の講演があった。今回は会場聴講とオンラインライブ講演会としてZoomウェビナーを利用して配信をした。

 

 

 

静岡大学 情報学部 行動情報学科 准教授 梶原 千里氏

『感性品質を考慮したモノづくり』

 

感性品質をテーマにした内容ではあるが、梶原准教授の専門分野である品質マネジメントの話から始まる。品質マネジメントは「品質の良い製品やサービスを創出、提供するにはどうしたらよいか?」であり、この研究に取り組んでいる。品質のよい製品、サービスを生み出す仕組み、体制、手法を開発、運用する研究が品質マネジメントである。品質が良い=顧客の要求と合致している事。商品の市場性、企画から開発、製造、出荷まですべての部門で頑張らないと品質の良いものが作れない。

感性品質とは「人間が抱くイメージやフィーリング、五感によって評価される。パッケージ、デザインが決め手になる事もある。感性品質を考慮したモノづくりでのアプローチ方法としてはSD法(感情的なイメージを対立する形容詞で回答する方法)、個人差を考量した評価、グラフィカルモデリングがある。共同研究事例としてスマートフォンのタッチパネルの使いやすさを調査し、プリンターのタッチパネルの操作感を改善、反映させる。待機画面の切換え、リスト画面の縦スクロール、コピー画面の横スクロールにより、上記3つのアプローチ方法で検証し、反映すべき好まれる条件を決定した。

品質マネジメントの分野を発展させていくためには、現場で生じている課題の解決に寄与できる研究に取り組む必要がある。

 

 

 

 

静岡大学 農学部附属地域フィールド科学研究センター・藤枝フィールド 准教授 八幡 昌紀氏

『静岡の果物を科学する ~地域に根差した果樹研究~

 

藤枝フィールドには約10haの圃場があり、4名の常駐教員で持続型農業に関する基礎研究、高品質・減農薬園芸の研究、栽培技術の改良、品種改良に関する基礎研究を行っている。八幡准教授は染色体工学的手法を用いた高品質果樹の開発(皮ごと食べられるミカン)、果樹の結実・成熟生理に関する研究(二ホンスモモの結実不良の原因解明、ブンタンの種なし化)、新規果樹の導入・栽培試験(絶滅危惧種ナガボナツハゼの保護)を専門としている。これらの専門分野の研究を通して「技術・資源を静岡県の農業振興のために活用できないか?」として、藤枝市の農商工連携である「藤枝カシスプロジェクト」を2010年より実施、カシスの実は藤色の為日本一の産地を目指している。企業とのコラボでカシスリキュールジャム、カシス酒の実績がある。掛川市では「オリーブ産地化計画~オリーブのあるまち~」を通して「健康・子育て日本一」の推進を図る。オリーブは健康食品として、耕作放棄地対策で苗木の需要が多い。苗木は挿し木又は接ぎ木により増殖されるが研究事例が少なく、簡易的な繁殖方法と高品質苗生産法の確立を目指している。尚、挿し木時期、土壌の種類、品種の違いによる発根率を調査、様々な土壌で栽培し成長度を調べる。結果としてオリーブ挿し木苗育成に成功した。又、藤枝市の「藤の新品種育成プロジェクト」では、藤の品種改良に関する研究がほとんど行われていない、又、現状4月中旬からGWにかけての「藤まつり」期間中に花の見ごろが過ぎており、花のバリエーションが少ないことから「日本一のフジのまち」を目指すには新品種育成のための研究が必要であり、遺伝資源評価、育種(交雑、倍数性、突然変異)を経て新品種を作出した。そのほか、NPO法人や育種メーカー、農薬・化学肥料メーカー、農業資材メーカー、玩具・お菓子メーカーと共同研究して、技術指導、果樹栽培試験、新商品開発を行っている。

 


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