第144回「 産学官交流 」講演会(東海大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


東海大学にご協力いただき、第144回の講演会を開催しました。

今年度の第1回目産学官交流講演会は会場聴講とオンライン(ライブ)方式で開催いたしました。今回は東海大学人文学部 人文学科教授 栗原ゆか氏による「静岡キャンパス・人文学部におけるユニークな取り組み ~グローバルとローカルな視点を目指して~」、海洋学部 海洋理工学科教授 仁木将人氏による「静岡市のゴミで干潟を作ったら ~リサイクル時代の環境創造~」の講演がありました

 

 

東海大学 人文学部 人文学科 教授 栗原 ゆか氏

静岡キャンパス・人文学部におけるユニークな取り組み ~グローバルとローカルな視点を目指して~

 

昨年新設された人文学部は人間と文化を様々な角度から探求する3つの領域(地域マネジメント、クリエイティブカルチャー、グローバルコミュニケーション)がある。栗原教授は英語教育の専門でありグローバルコミュニケーションを担当している。総合人文学概論の中でウェルビーイングな企業環境を紹介。「社員の幸福度アップが業績アップにつながる」。「心理的安定がいかに保たれているかどうか」など、HNKのクローズアップ現代でも取り上げられたことを紹介。又、ウェルビーイングな職場とそうでない職場の違いとして、社内で誰と誰がコミュニケーションをとっているのか、トップダウンなのか社員同士で行われているのか。社員同士で行われていればモチベーションが上がり、イノベーティブ・生産性が向上する。尚、社員のウェルビーイングを高める条件として組織の連帯感、自分の組織と思えるか、働き方の柔軟性、多様性の尊重、明確な目的、支えてくれる存在が挙げられる。グローバルな言語としての英語はネイティブが3億2000万人、第2言語として3億5000万人、国際言語として7億5000万人が使用している。ネイティブであっても、英国、アメリカ、カナダ、オーストラリア共それぞれ独自の英語であり、第2言語の国でもその国独自の英語となっている。そのため現在では「World Englishes」と言われている。日本人はネイティブが正しく、ネイティブでないのは正しくないと言うことで恥ずかしくて英語を話そうとしなかった。「World Englishes」ということで日本独特の英語であっても自信を持って話す必要があると思われる。尚、東海大学では多様性のある英語を話す場所としてハワイがあり、ハワイでの留学、プロジェクト型研究を実施している。又、ローカルな活動としてはYouTubeで英語による観光案内を作成。清水港通訳ボランティアとして客船来港時に授業・課外活動を実施している。今後フィールドワークを通じて通訳ボランティアを継続する。又、企業の皆様で外国語教育の取り組みについて、将来どのような取り組みをしたいか教えて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東海大学 海洋学部 海洋理工学部 教授 仁木 将人氏

静岡市のゴミで干潟を作ったら ~リサイクル時代の環境創造~

 

なぜ干潟を作るのか?我々の生活は自然の恩恵によって成り立っている。生態系サービスとは生態系が生み出す資源から人間が直接得られる恩恵である供給サービス、生態系のプロセスが環境を調整する調整サービス、生態系が生み出す非物理的な価値から人間が得る便益である文化的サービス、他の生態系サービスが機能する為に必要な生態系自身の基盤である基板サービスのこと。干潟の持つ生態系サービスは干潟や浅瀬、河川や湖沼の湿地帯は水を浄化する、そして豊かな湾を取り戻すための対策として干潟。浅瀬の保全・再生が取り上げられている。干潟の重要性はハリケーンなどの復興戦略において堤防のみを作るより干潟を混ぜたほうが費用が掛からないと実証されている。干潟は海水流入時の水温上昇を抑制する。今回溶融スラグを利用して干潟を作ることを思いついたのは、一般廃棄物を1200度以上の高温で焼くと、溶融しガラス状の固形物となる。主成分は二酸化ケイ素、酸化カルシウム、アルミナであり岩石や砂に似た性質を持ち砂の代替えとして土木・建築材料として使用されているから。尚、溶融スラグを利用した環境改善に関する知見は多くない。そして、静岡市の西ヶ谷清掃工場では日鉄エンジニアリングの溶融炉を使用しており、1700~1800度の高温でゴミを溶融してダイオキシンも出ない。肥料登録もされておりこの溶融スラグを使うこととなった。

実際に干潟を作ったらどうなったか?水槽実験ではあさりを入れたものと無い者を用意、又砂の種類をかえて実験。途中で赤潮が発生したことも影響して生存率の差が見られなかった。只、アサリが育っていることは確認が取れた。溶融スラグは間隙水に高濃度のリンが含有することが判明し御前崎港久々生海岸に自生するコアマモを臨海実験所で育成中。今後静岡市で潮干狩りができたらおもしろい。

 

 


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