第148回「 産学官交流 」講演会(静岡県立大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構 


静岡県立大学にご協力いただき、第148回の講演会を開催しました。

今年度の5回目産学官交流講演会は静岡県立大学 食品環境研究センター センター長 特任教授 若林敬二氏による「機能性表示食品の開発とその実績」と薬学部 薬学科 教授 浅井知浩氏による「mRNAワクチンの基礎研究と社会実装」の講演がありました

 

 

静岡県立大学 食品環境研究センター センター長 特任教授 若林敬二氏

『機能性表示食品の開発とその実績』

 

 食品は一般食品と保健機能食品があり、保健機能食品には特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品がある。特定保健用食品は消費者庁長官の許可が必要でヒト介入試験(動物、ヒト試験)が必要の為、承認を受けるまでに6か月~1年かかり、費用も2,000万円以上かかる。そのため、2007年の167件承認をピークに2019年の32件まで減っている。又、国内市場は2015年の3,800億円から2019年の約3,000億円まで減っている。機能性表示食品は2015年からサプリ、加工食品を対象に始まり、ヒト介入試験又は研究レビューを基に消費者庁に届ける。3か月程度の期間で150万円~400万円のコストで機能性表示商品の表示できる。そのため、2015年の307件から2019年の785件まで増え続けている。届けのあった機能性・製品数はメタボ関連が多く、中性脂肪・血糖値・体脂肪・血圧を下げるの表示が多い。尚、認知機能の改善も増えている。国内市場は2015年の200億円から2019年の4,700億円まで増えている。機能性表示食品の静岡県内の届け出件数は全国5位で、製造数は全国1位である。ツナやお茶関連商品が多い。機能性表示食品制度には届出→科学的根拠の証明(システマティックレビュー)→消費者庁への届出→機能性表示食品の販売フローがあり、静岡県立大学ではシステマティックレビューの支援をしている。よって、機能性表示食品の届出に興味のある企業は是非相談して欲しい。

 

 

 

 

 

静岡県立大学 薬学部 薬学科 教授 浅井 知浩氏

『mRNAワクチンの基礎研究と社会実装』

 

 浅井教授の研究室ではDDS(Drug Delivery System)技術を世界に展開する新産業を創出し地域社会に貢献することを目指している。又、最先端のナノDDS技術を駆使した医薬品・ワクチンの開発、医療用DDS技術を応用した試薬、化粧品、食品の開発を事業とする静岡県立大学発ベンチャー企業LunaRD(Lipid-based Unique Nanoparticles Research & Development)株式会社を設立している。今回のテーマであるmRNAワクチンはウイルスのタンパク質のもとになる遺伝情報(設計図)を、毒性・病気になる性質のないウイルスに組み込んだもので、新型コロナウイルス感染症のワクチンで初めて使用されたもの。従来の生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドとは異なる。mRNAワクチンの重要な技術はRNAの送達に使用される脂質ナノ粒子(LNP)である。そのため、研究室ではこのLNPの研究も行っている。mRNA、LNPの課題と今後の展望としては副反応の軽減、利便性の改善(凍結乾燥製剤化:ファイザーのワクチンはマイナス80度の保管が必要で、解凍後すぐ接種しなければならなかった。実際のところ常温での保管実験をする時間が無かったため、納期優先で承認された)、他感染症への応用、非感染症(悪性腫瘍など)への応用、国産LNP技術の実用化が挙げられる。コロナ感染症に対するmRNAワクチンの開発は2019年12月にコロナ感染症が確認され、2020年1月中旬にゲノムが解析され、4月末に治験開始、2020年12月にFDA承認という迅速なものであった。尚、LNP技術の開発では電荷反転型LNP技術、PEG-free LNP技術、ペプチド脂質を用いたLNP技術が挙げられる。既存のLNP技術の開発によって課題解決が進み、高度化したLNP製剤の設計可能となった。

 


 

 

 

 

 

 

 

 


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