第156回「産学官交流 」講演会(東海大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構

 

 

今年度1回目の産学官交流講演会は東海大学の協力のもと、人文学部 人文学科 講師 高塚千広氏による『食をめぐる人文学 今につながるむかしの料理』と海洋学部 水産学科 教授 後藤慶一氏による『超音波AI技術によるマグロの品質評価』の講演があった。講演会後交流会(名刺交換会)を実施した。

 

 

 

 講演1.『 食をめぐる人文学 今につながるむかしの料理合 』 

                                                                           東海大学 人文学部 人文学科 講師 高塚 千広氏

  

高塚講師は静岡県立大学卒業で東海大学海洋学部海洋文明学科講師から人文学部の講師となった。食文化論が専門。今回の講演では1643年刊の「料理物語」、1674年刊の「古今料理集」から現在の料理についての考察が中心となった。「料理物語」は昔から今日まで聞き伝えられてきたこと、人々の物語を後に残すために記されたもの。書物の中の煮物の部ではふわふわ(豆腐やたまご料理)、じぶじぶ(鳥の油を使った入り煮の音)、うすうす(クチナシで染める)、ころころ(鳥の肉や魚を丸める)などの表現が使用され、江戸時代の台所の音が聞こえてくる。尚、かつをによるだしのとり方も記述されている。「古今料理集」では野菜の切り方が載っており、それらは今でも使用されている。いちょう切り、たんざく切り、ささがき、くし形切り、こぐち切りがその代表。切り方の名前やその形、ひとつひとつに日本の風物(季節の景色、事物、習慣など)が表れている。

 

 

 

 

 

 

講演2.『 超音波AI技術によるマグロの品質評価 』

                                                                                                                  東海大学 海洋学部 水産学科 教授 後藤 慶一氏

 

後藤教授も静岡県立大学を卒業。三井農林食品総合研究所でお茶の研究をした後、東海大学海洋学部の教授となり、現在に至っている。後藤教授が成し遂げたいことは魚のおいしさ(特徴)を見える化することで、可視化の取り組みは日本酒、だし、チョコレート、お茶、紅茶、ワインなどで行われている。可視化の方法として官能評価、機器分析、官能評価+機器分析の3種類がある。魚のおいしさ(特徴)を可視化するには官能評価、物理化学評価をして多変量解析(主成分分析)後、可視化(マッピング)する。例えばメバチでは「かたい」、「あっさり」、「こってり」、「柔らかい」に分類でき、クロマグロ、ミナミマグロでは天然、畜養のおいしさをマッピングすることができた。脂がのって、酸味・苦みが無く、ほんのり甘く、旨味があるメバチをどのようにして選別するかの課題に超音波AI技術を利用して品質評価ができるのではと大手メーカーから声がかかり研究を開始。冷凍マグロの尾切り選別で評価されたマグロを用いて超音波データの取得と、理化学分析を実施、反射波をAIにかけて検証した。結果、試作機が出来上がり、その後静岡の企業が今年初めに超音波測定装置を商品化した。今後、種類別の評価システム開発を進めていく。

 

 

    

                                                                                       

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