第159回「 産学官交流 」講演会(静岡大学)報告 

 

 

主催:静岡市清水産業・情報プラザ(指定管理者: 静岡商工会議所)

共催:新産業開発振興機構

 

静岡大学にご協力いただき、第159回の講演会を開催しました。

今年度の4回目産学官交流講演会は静岡大学 農学部 応用生命科学科 教授 中村彰彦 氏による「プラスチックを見つけたり壊したりする酵素を作る」、同工学部 電子物質科学科 教授 小野篤史 氏による「光と電子の強結合場が拓く革新的光センサの開発」の講演がありました

 

 

 静岡大学 農学部 応用生命科学科 教授 中村 彰彦 氏

プラスチックを見つけたり壊したりする酵素を作る

 

中村教授は東京大学大学院では「セルロース分解酵素の構造機能、中性子/X線共構造解析を研究しており、静岡大学農学部に赴任してからPET分解酵素の耐熱・高活性化、プラスチック検出たんぱく質の開発をしている。生き物は酵素で出来ていて実際に働いているものが酵素である。酵素は無限の組み合わせがあり、配列が決まると形が決まる。配列から形の予測ができる時代となっている。プラスチックの廃棄量は年々増え続けている。PETを食べる細菌が持つPET分解酵素が報告され、室温に置いておくだけでPETが分解されることが解る。1分子蛍光計測での吸着、脱着を解析したところ、PET2-7Mでは吸着速度がPET2WTの3倍となった。PET分解酵素開発でキリンと共同研究を実施。PET2-21Mは60度24時間でPETボトル粉末が分解可能となった。ただし、プラスチックリサイクルはしばらく下火となる模様。プラスチックによる環境汚染問題が多くあるがプラスチック吸着たんぱく質は見つかっていない。そのため、吸着面に向いているアミノ酸を変異させ、いろいろな条件でスクリーニングした結果、キチン及びセルロースに吸着しない酵素を作成できた。酵素のメリットとして、環境にやさしいプロセスで科学変換ができる、医療食品向け、副産物の生産を考える必要がない。一方、デメリットとして反応可能温度が低いため反応に限りがある、酵素の開発・探索に時間がかかる、酵素の生産費用が高いことがあげられる。

 

 

 

 

 

  

静岡大学 工学部 電子物質科学科 教授 小野篤史 氏

光と電子の強結合場が拓く革新的光センサの開発

 

小野教授は大阪大学大学院にて博士号取得の後、独立行政法人理化学研究所基礎科学特別研究員としてナノフォトニクス研究に従事、2009年から静岡大学にて光とセンサの研究をしている。今回の講演では1.表面プラズモン共鳴波長の動的制御によるカラーチューニング技術、2.Siイメージセンサの近赤外感度向上技術、3.シリコン光センサの深紫外感度向上技術、4.金属メッシュ型次世代透明電極の開発の内容説明があった。

1.表面プラズモン共鳴波長の動的制御によるカラーチューニング技術
銀ナノキューブ単層集積膜の伸縮により銀ナノキューブ間距離を制御し、表面プラズモン共鳴波長シフトに伴い透過光色がマゼンタ色から黄色へと動的に変調されることを実証した。
2. Siイメージセンサの近赤外(NIR)感度向上技術
準表面プラズモン共鳴条件にて金属回折格子パラメータを設計することにより、透過側へ大きな回折角度かつ高効率にプラズモニック回折することを明らかにし、Siイメージセンサの近赤外感度が~50%と劇的に向上することを解析的に示した。
3. シリコン光センサの深紫外感度向上技術
深紫外域におけるシリコンの負の誘電応答性に着目し、金属ナノ構造を用いず、シリコンそのものに表面プラズモン共鳴を励起し、光検出感度が約3倍向上することを実証した。
4. 金属メッシュ型次世代透明電極の開発
銀イオン含有ポリマーへのレーザー集光照射還元反応により、視認されない線幅~2μmの導電性銀細線の作製技術を確立した。本作製技術にて、ITOよりも優れた透明性と導電性を有する金属メッシュ透明電極を作製した。

 

 

 

 

 

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